2012年2月23日木曜日

死刑ゲーム

小学校の昼休み。何かの遊びでビリになった子が両手を水平に上げ、直立する。
僕らはその子から何メートルか離れたラインから背中に向けて皆でボールを投げる。
頭を狙う場合も有る。
そのうち罰ゲームがメインになり、その前の遊びは何でも良くなる。
子供達が何をしてもいい休み時間に、誰からも強制される事無く自然発生的に生まれ定着した遊びだ。

少年は中学校3年生だった。テニスに打ち込み、最後の大会に向けて
体の中から湧いてくる活力と希望を胸に学生生活を送っていた。そんな彼を病魔が襲う。
重度のネフローゼ症候群(腎臓疾患)。まあいわゆる難病だ。
絶対安静が必要なため入院。当然最後の試合なんてもってのほか。
ステロイド治療が功を奏し2ヶ月で退院。しかし再発。受験を控えた12月のこと。
病院内の養護学校に通う。病院から受験し北九州高専に入学。
好転しない症状から、免疫抑制剤へシフトを勧められる。抗がん剤だ。
リスクも有る。子供が出来ない体になるかもしれない。
吐き気、頭痛、脱毛、黄疸…体には様々な副作用が出る。だがそれしか手は無い。
しばらく続け、なんとか小康状態に持って行く。この命いつ終わるかも知れない。いつも全力で太く短く生きなければ。
 
大学4年生時、当時付き合っていた女性との間に一生出来ないかもと思っていた子宝が。
秋に入籍。学生でもあり、まだ一緒に暮らせるだけの余裕は無い。しかし守るものが出来た。
春から就職。研修先は県外。5月に出産。7月にやっと配属先が決まり家族で同居が可能に。しかしネフローゼが再発し入院。クリスマスと正月には外泊許可を貰ってなんとか家族で過ごす。この家族とのささやかな幸せをなるべく長く続けたい。
そして春。妻と娘がいたぶられ殺される。

参考資料:月刊WiLL2008年7 月号 「本村洋さん 難病と闘った凄絶な半生」(門田隆将)

死刑妥当と思う。5時間目が始まろうともボール投げつけるね。
まあ、例によってなかなか執行されないません。

さて、ここでいつものように死刑反対の人達がわさわさ湧いてくるんだけど
その人達の意見をちゃんと見てみようと思ってお勉強。自分が一つの意見で賛成だからといって反対の理由が一つである訳ではない。

・当時少年である

少年法は犯行時18歳未満の死刑適用を禁じているが、福田孝行当時18歳1ヶ月。アウト!

・精神疾患

弁護士の入れ知恵失敗。変な供述し始めるの遅すぎ。死体の隠蔽、財布の中の地域振興券盗んだり判断能力有りまくり。アウト!

・家庭環境が…

何の為に前半の文章書いたと思うのだ。辛い環境でも人は罪を犯さず自分を奮い立たせて生きて行ける。

・そんな死刑になるほどの重い罪じゃないし

この意見の人はあんまり居ない。過失でもないし。併合罪を加算する国だったら強盗+強姦+殺人×2+死体遺棄×2+器物損壊=懲役だったら何年?

・死刑制度自体に反対

ここが一番多いというか、もともと福田孝行(今は大月)を擁護しようと言う人は殆ど居なくて、
どんな残虐な犯人でも殺しちゃダメ!ゼッタイ!という人達。
その論拠も色々有るみたい。

・ルソーから連なる社会契約説ベース
人の権利は国家から与えられたものではなく、そもそも生まれながらにして持っているもので
一時的に国家に預けてあるに過ぎない。
そしてその一番大きな権利である生命というものを奪う権利なぞ、いち契約相手である国家なんぞに有る訳が無い。

日本では馴染みにくいかも知れないけど、時の王朝や貴族のパワーゲームで色んな国家にころころ踊らされた中性ヨーロッパ的な考え方ですね。
昔から住んでた場所が明日からドイツ領、明後日はフランス領とかなるんですから。

・刑の重さは強度ではなく時間
一瞬で済む死刑よりも、長期間に渡る刑の方が受刑者はきつい。これは、死刑よりも長い懲役の方が重いという考え方。ここは人によると思う。獄中生活も慣れる人は慣れるだろうし。日本には拷問刑は無いしなあ。仮釈放の可能性ゼロの終身刑。今の無期懲役と死刑の間のギャップを埋めるにはこの辺りが現実的かもしれない。

・人は変わるもの
更生の可能性。有るかも知れないし、無いかも知れない。生まれながらのクズ、死ぬまでクズって奴は確かに存在する。

・死刑制度が有る国は先進国の中では日本だけ。野蛮!
まあそうなんですけど。今有る刑法を変えようとするなら、それなりの手続きを踏んで下さいとしか言えない。

・冤罪リスク
ここら辺が論拠としては一番強いと思う。
人は間違う。懲役ならば服役中にやっぱ無罪でした、メンゴ!ってのも出来るけど
死刑執行した後にはそれも出来ないという。でもどこかの時点で判断を下さないといけない訳で。証拠もそろって自らも犯行も認めた場合にはいいんじゃないかと。


そして一番めんどくさいのが人権屋さんである。職業として、生業として人権を看板にしている人達だ。

例えば、わざわざ犯人と養子縁組をし名字を変えさせた大月純子さん。獄中の面会が親族に限られるからなのね。
日本基督教団牧師で「わたしたちの性と生を語る会・広島」代表、「ジェンダー広島」運営スタッフ、「男女共同参画を考える会ひろしま」共同代表。
元々福田姓も通り名なのかね。
安田好弘弁護士
数々の死刑が予想される普通の弁護士からは嫌われる事件を受けて来てこの世界で生き抜いて来た人。元全共闘。
亀井静香
死刑廃止を推進する議員連盟4代目会長

みんな仕事として役割を担ってる。その団体や任務にお金を払う人が居て、そのお金を受け取る以上やらない訳にはいかない。ただの正義感や主義信条だけで死刑反対言ってる訳ではない。

復讐は復讐を産むだけだ。そんな事は分かっている。
それでも事件当時に愛する妻と子供を持つ僕を含む日本の男性はみんな考えたものだ。考えたくもないのに。

「俺ならどうする?」

「俺なら、こうするよ、多分」当時、妻に話した。
ほぼ同じ事を会見で本村さんが話すのをテレビが流していた。

もし死刑じゃなければ、出所した所を俺が殺しに行く。